空想遊戯

アートアクト#2 「ざくろ石を食べる。」

1993.11.12〜15 西日暮里アトリエPANにて上演されたものです。
作・演出 小粥よう子 
美術   深海十蔵
照明   三田弘明
音響   モックサウンド
      水越佳一
映像   風野玉三郎
舞監   河井克夫
振付   弥生
衣装   内田もずく
制作   アトリエPAN
cast  飛田展男
    押火 淳
    津曲健仁
    小粥よう子
    飛田直美
    雨宮弥生
    中沢優子
    伊藤はるか
    鈴木勝美(12日のみ)

1. 血液の風  魂からの目線

観客の頭上スレスレまで赤い布がゆるくたわんでいる。
全体を覆いつくす赤。
血管の中に閉じ込められた感じ。
風が吹いている。
流れがある。

舞台。客入れと同時に始まっている。
小さい赤い椅子に座る、首を回す人形型のオルゴールが2個。
人形と同じ赤い服を着た赤児が間に座り宙を見ている。
オルゴールが止まると、赤児はネジを回す。

唄が、ふたたびはじまる。
速く・・・やがてはゆっくりと・・・
ふたつの音はズレ、赤児は無表情のまま動作をくりかえす。
止まる・・・ 回す・・・
止まる・・・ 回す・・・
風が、 吹いている。

 暗転  
風が、止む。

女がふたり、奇妙なデザインの椅子に座っている。
椅子と呼ぶには居心地の悪そうなその物体に、
女達は無理な体勢で腰を掛け、無言で堪えている。
過剰な装飾と、異素材が組み合わされた服。
真っ赤と、反対色の青。
顔にも“美”とは遠いメイク。ちょっと可笑しい。

静止。石のように動かない。

小鳥の声。 ピピ・・ピーピピピ

女達は呑気と平和の象徴にも無関心。
だが表情は、“一生懸命堪えている”がチラチラ見える。

女1 「・・・くっ・・・」
女2 「ふっ(笑う)」
女1 「無理しない方がいいわ。」
女2 「あなたでしょ、苦しいのは。」
女1 「あなたよ。顔に書いてある。」
女2 「・・・なんて?・・・」
女1 「ああああ、なんて苦しいのかしら。もうやめてしまいたいの、こんなこと。
    とても堪えられない。なぜこんなことになってしまったのかしら。つらすぎる。
    ああああ、どうして続けなければいけないの?何のために?誰の所為で?
    ああああ、馬鹿馬鹿しい・・。
    ずっと、こんな、バカバカしい・・。
    最初から・・・、」
女2 「最初から・・・、」
女1.2「馬鹿みたいだわ、私。」


確かに、バカみたいな顔ではあった。

音楽!意外な所から、白い腕が出てくる。
ドライアイスの煙。蛇のように踊りながらリリトが這い出して来る。
白い身体。ちぎれた赤いドレス。

リリトはふたりを苦しみから立ち上がらせ、真っ赤な食べ物を与える。
女1・2は、ゆっくりと、ゆっくりと、その血のような食べ物を口に運ぶ。
リリトは満足げに微笑み、客席へ降りようとする。

アダム 「リリト!」

呼び止めた声の主は、魂の分配人・アダム。
赤児を連れている。
アダムの服には「GOD IS LOVE」の文字。
(観客がアダムを神だと思っても良い)

リリト 「変わらないのね」

風が吹いた。
リリトは客席後ろの椅子に向かう。
彼女はこの先もずっと、後ろからすべてを見守るのだ。

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