2001.5.1〜5.10
5月1日・イノセントな悪意。
あうっ・・。なにか、とてつもなく重い。沈澱と上澄みの分離。
ワルツを踊る足の動き。出すと引くパラレルな動き。
偽善と露悪趣味の裁判官が高笑いを始める。
「わかっていたことです。ええ、すべては。そのうえで、なお。」

彼らは孤独を愛すると同時に孤独でいることを苦しみ、世間を蔑み小馬鹿にすると
同時に賞賛されたり認められたりすることを切望する。俗物どもを憎むくせに
驚くばかりに凡庸な賛辞を期待し、謙遜しつつも呆れるばかりに傲慢である。
自己を過小評価するような姿勢を見せつつも、常に自分は能力に相応しい認知を
されていないと不満を抱いている。生き方の不器用さをある種の選民意識として
歓迎しているくせに、なんらかの形で世間への復讐をする「権利」を持ち合わせて
いると考えている。ミもフタもない高潔な理想主義を掲げてる割には、けっこう
いじましい生き方をしていたりする。彼らは常に矛盾したものを内に宿し、自らを
定住させることができない。というよりも、そうした不安定さ、捉え難さを以て
アイデンティティとしている様子が垣間見える。
        〜「子供のまま大人になった人たち」春日武彦著・引用〜

「だが、あなたの人生とは関係がない。」

5月2日・ゴールデンは何処へ行った・・。
引きこもりな日々です。だって雨なんだもーん。
このまま頭脳機能停止状態で一切の情報を受け入れずに暮らすのもいいなー。
筋肉もすっかり衰えて自主的に植物人間化すんの。ゆっくりと息しなくなっていくの。
で、ツタとか身体に巻き付いてきて、土に還る。理想的な終わり方だなー。

なーんて耽美派夢想していたら、事務所に用事で渋谷に行くことに・・。
ゆきぼさんが経理が合わなーい!とヘロヘロだ。ふへー現実ここにありき。
そうだ、あたしも先月分の経理やってないじゃん!あー、銀行も行かなきゃ・・。
頭が日常茶飯用チャンネルに切り替わり、歩き方まで、とっととって感じになっちゃう。
あ〜悲しーやねー、東京生活。

そうそう、シーツが欲しかったんだわ・・って主婦モード全開で東急ハンズに寄る。
その昔ハンズ詣でって言葉があって、ここに来ればクリエイティブな神経が刺激されたものだ。
が!・・ゆっくりと息しなくなってたのは、ハンズだった。(笑)
なんだかとっても、取り残されてる。何かが足りない。いや、きっと陳列方法が古いのね。
ドンキホーテ的な雑然か、コムサ的なスタイリッシュ系。モノに演出加味されてるもん。
いらないモノまで買わせるチカラ。お買い物はイベントだからさ。

結局、買ったのは「海洋深層水塩・薬用元気の出る塩はみがき」!(笑)
身体にも海にも優しい成分のヤツ。一般売りのだと、おえっ!ってなっちゃう身体なの。
ところで「はみがき粉」ってカッチョ悪いネーミングは、いつまで使われるのだろう?
なんたらペーストとかガムとか定着しないねー。粉だったのって相当前なのにねぇ・・。
などど、帰る頃には、些末な小市民思考に支配されていたのでした〜。ほよほよ。

5月3〜6日・埋蔵金を堀り当てました。
いやー、面白い旅行だったわよー。
屋久島の先の無人島に財宝を掘りに行ってまいりましたー!

て嘘。ぐーたらしてて溜った日記をGWにカコつけて休みにしただけー(笑)
掘り起こしたのは自分の中。財宝も見つけたけどね、ここには書けないや。
うふふふ・・って含み笑いして、解る人にだけピースを贈ろう〜。ネガチョフ退散〜〜!

さて振り返って、5/3は雨。着物で平和島骨董市に行く予定がダウン。
薔薇の紅い着物、いつ着れるんだろー?経理やってから、本を読む。
とんでもなく厚い宮部みゆき「模倣犯」上、ふつかで読破!

5/4は、女4人で麻布にある高級イタリアレストランに・・。
「今日、美味しいお魚何かしら?」値段も確かめず注文する我ら。
ワインもデザートも店員のサービスもよろしゅうございましてよ。おほほ。

5/5はLINDAさんとデート。朱里さんと観るなら・と選んでくれたのは「ショコラ」。
甘くて心温まる映画なのに、チョコを麻薬に置き換えて考えてる私。
カラんでごめんねーLINDAさん。初デートなのに最悪なオンナでした。反省〜。

5/6は昨日の延長。やっぱり満月がいけなかったらしい。
不安が誤解生んで妄想の海で溺れまくり。石になってちゃ沈みます。
友達にメールを出すと、優しい言葉が還って来て、原因ごと救命されました・・。
お騒がせだよ、ホント。簡単なことなのになぁー・・。

こうして黄金週間は、最後に金色の光りに包まれ、天に召されていったのでした。
めでたし、めでたし。

5月7日・スミスさんの反乱?・の巻。
連休明けたら、お仕事でした。(笑)
「パワーパフガールズ」ってアニメの吹き替え。
原音があるのって気持ちがラクだわー。英語の声優さんが横にいるみたい。
出だしもブレスも耳からフォローしてもらえるでしょ?
あんまり頼りにすると、ヘンなイントネーションの日本語になっちゃうけど。
でも、この微妙〜に英語に引きずられ加減が「らしさ」を醸してたりする。(笑)

もひとつラクなのは、絵が全部あるってこと!しかもビデオもらえて確認出来る!
今回の役、ガールズんちの隣の奥さん、メアリアンはおしゃべりで超早口。
表情がコロコロ変わるし、アテるのは難儀じゃ〜!ってキャラです。
はあー、ビデオあって助かった〜。当日リハじゃ到底ムリでございました。トホホ。
喋り出しのきっかけがメッチャ難しい。・・私、こーゆー時は音楽で覚えます。
皆さん何秒ってタイムで覚えてるらしいんだけど、一秒って長くない?
洋モノはほぼ全編にBGMが、しかも演出意図がそのままの音で入ってる。
だから音楽に乗っかっとけばハズさない。リズムが気持ちいいように絵も作られてる。
・・反射神経なくてもねー、なんとかはなる・・なってるのか?

今はヘッドフォンもコードレスになったけど、以前は絡ませないよう気を遣った。
洋画は人数多いし、ヘッドフォンの数が足りない事もあって途中で渡し合ったりね。
新人はアテる以外に現場でやることいっぱいあったんだよねー。
もちろんビデオなんてなかったし・・。そうなの、まだフィルム時代ー!!(笑)
暗かったよー、スタジオ・・。いや、いろんな意味で・・(苦笑)

「パワーパフガールズ」はブラックな笑い満載で好き〜。
子供のこと最初から捨ててるのー?って感じ。な分だけ芝居は高度。
スタジオは知らない方ばっかりで居場所も掴めず、浮いてしまったかも・・。
次回は、もうちょっと他の方とちゃんとカラんだ芝居にしたいです。反省〜。
あ、続いてるんだって、お話。
メアリアンは、復讐するらしい・・。ふーん。
オンエア情報はアークのHPでね。あたしも知〜らない。

5月8日・記憶のヒューマニズム。
この日記はiMacで書いています。最初に出た青。白の花模様の欲しいなー。
先代はパフォーマー。単純にデザイン重視のマック使いなのです。
劇団やってた頃はフォトショップでチラシやアイコラのカード作ってました。
HPもね、それなりに勉強して写真載せたり上演台本紹介したりしてみたいな。
しかし基本的に怠惰なメカオンチ。いつになるやら・・。

不思議の国よね、サイバー空間。
こんな個人的なウェブサイトが乱立していて、自己表現を許されてる。
私が死んでも「記憶」されて生き続けられるんだよ、ここでは・・。
巨大な脳味噌の片隅。変更されることなくデータ化されて。
100年後の人が検索して、日記を読むのか・・。
そうだ!ポストペットみたいに勝手に日記を書くように設定したらどうかしら?
死んでからも更新し続けるの、自動的に。生きてる間にプログラミングしておく。
その日のニュースにワタシなら何を考えるか、パターンから推察して日記を綴る。
ワタシという思考の遺伝子は永遠に生きるの!

肉体は滅びるから、大切に思える。すぐ血が出る。痛い。わかりやすく脆い。
そして腐って地球に還元される。自然だなぁ・・。だから大切に扱わなくちゃ。
死んだら無くなる。それはそれでスバラシイよ。

人間の脳は異常な進化だ。むしろ突然変異の畸形なんじゃないかと思ったりする。
誕生するとまず脳細胞は大量に死滅するって知ってます?
環境に適応するために必要なものを選別する。いらないものは始末する。
どうにでもなるんだなー、人間って。
時代に教育されて、価値観コロコロ変えて・・。確固たる自分なんているのか?
なら、機械に思考を渡しても、それなりに私らしく生きられそうだよ。
ヒトが人間である必要はない・・かもね。

5月9日・労働のススメ。
劇場の管理人が来る前から当日券を求めて人が並んでる・・。
そんな話を聞いて、走って行きました。
渡辺えり子が新しく旗揚げした「宇宙堂」の「星の村」!
平日マチネでも前売りは完売。なんとかザブトン通路席をGETいたしました。
・・どんなかって?終演して客電ついても拍手が鳴りやまず、渡辺えり子さんが
靴を履き直しながらカーテンコールに出て来て、涙ぐんでた。そんな作品。
3○○解散後、たまってたものを思いっきり入れましたねー。
これが演劇だ!って安心しながら楽しめましたー。胸に染みるねー。
作風は相変わらずで次元が移ろう。もたいさんの佇まいだけで解る!うまいなぁ。
・・2時間半、あっという間。・・ハコ馬に座るのは、腰に来たけど・・。

スズナリの事務所は居心地が良くて、だらだら居ついてしまう。
制作主任のふたちゃんとは旧知の仲。もう10年以上の付き合いかな?
「夜、本多劇場に観に行くけど・・?」じゃ、・・てんで一緒に行くことになる。
「サモ・アリナンズ」の「ホール アンド ナッツ」今度はギャグだー。
こちらも安心して笑える。何処までがアドリブ〜?やっぱイラン人は飛び道具だぜ。
(私信ー!ツルちゃん、児玉信夫さんてば、もろオスカルだわよー!笑)

はぁ〜、一日に5時間も芝居観てしまいました・・。
さすがに目がチカチカする・・。これは有意義な一日、なのだろうか?
娯楽が必要な日常でもない。まして勉強の為に観るなんてアホなことしてたまるか。
終電まで、ふたちゃんと飲んで笑い合う。
いいっか、まぁ。そこそこオモロイ快楽の日々・・なのだった。

5月10日・命がけで突っ立った死体を見に行く。
理解は出来ないのだけど、舞踏はやっぱりスゴイと思う。
山海塾の新作「かがみの隠喩の彼方へ−かげみ」堪能。
さすが創立25年、6作品一挙上演だー!
でも「フィフス−表にふれて」は演ってくれないのね〜(涙)
世界37カ国、700都市で公演してる日本の文化なんて仰天でしょ?
それなのに本国での扱いときたら、まるでキワモノ。
歌番組のおちゃらけ企画でバックダンサーしてたりすんの。
・・けっこう気さくな人たち?

トリ肌もんだったのは、黒を演出で作ったシーン。
真っ白だった床面が、まるで黒い照明あてたみたいに墨色になった。
そこに立つと影がないの。じんわり闇に染まっていく・・。
たぶん下がスクリーンになってるんだと思うんだけどなぁ。
静寂の深遠が迫ってくる。せつなくて美しい永遠の瞬間。

哲学的に何を表現していたのか私の頭じゃ到底わかりませぬ。
それでも音楽聴くだけでも圧倒される。演出力に息を飲む。
舞踏手のひとりひとりが達観した僧侶の存在感を持っている。
解釈なんていらないね。美しいもんは美しいんだ。

で、カーテンコールがまた、くすっと楽しいのね。
白塗りのナルシストなおじさん達になっちゃうから・・。
知り合いに手を振ったりしてさー。ブラボーだよ〜、山海塾。(笑)