11月1日・ 巣。
2001.11.1〜11.10
部屋の模様替えは季節ごと・・。それは昔の話。
もう、忙しくて(何もしてないけど)一年に何度もしちゃいられない。
そうなるとイメージに近いインテリア完成に力を注ぐじゃない?
住んでる部屋見れば、その人が分かる!
そうか・・と見回せば、あたしって・・うう、そうかな〜(不安)

我が家のリビングは、床が鮮やかな緑。元から敷き詰められてた。
カーテンは大きなツツジの花柄。偽ロココ調。
壁には、上海で買ったモンゴル絵のカーペットを釘で打ちつけてある。
家具はポーランド製。猫だらけのサンディ・スコグラントのポスター。
かなりクドイ!悪趣味!・・なんだけど、居心地はいいのさ。
なぜか、来客がよく寝る(笑)。昼寝爆睡者多数。

それが外ヅラだとすれば(うわ〜〜)自分の部屋なんておぞましい内面。
誰も知らない趣味の世界!イランのアルデビル産のキリムが2枚。
細か〜い動物や植物柄。全部に意味があって〜・・。て、ま、置いといて。
机は自分で濃紫に塗った。ゴブラン織で作ったカバーは裏面を表にしてる。
中国の古いポスターとか骨董市で買ったガラクタが埋め尽くす。
ピンクを主体に・・う〜ん、内臓色?おお、そういえば肉っぽいかも。

このぐちゃぐちゃ加減が好き。
スッキリモダンなんて何がいいの?ホコリひとつで台無し。生活感なし。
ちなみにキッチンはアーリーアメリカン。鍋は全部たまご色。
寝室はパステルのストライプ。さわやかホテル系よ。
ヨカッタ〜、まともな部分もあるじゃない。
そうね、引越し前に写真を残しましょ。かなり個性的!

11月2日・ 映画女優だびょ〜ん。
顔でした。スクリーンに自分の顔のアップ。
試写会では「うっへ〜!ブスだ〜。動くなよ〜」と血液逆流でござんしたが、
映画館でひとりの観客としてあらためて見れば、それは顔でした。
「トルンピ/アントン・ブリューヒンの口琴新世界」@BOX東中野。
ナチュラル・トリップ・エキゾチック・ロードムービー。
びょ〜んびょ〜ん口琴音楽、知らない世界を回る旅。
何処なんだここは?世界の果て、脳の果て。発見するのは街と人の表情。
どこにだって、魔法は隠されている。びょ〜んで開く扉。

出演者も交えて、「時々自動」のライブ。
「山口きらら博」で唄ってた歌は、ここの朝比奈さん達が作ったんだよ。
ヘン拍子の異世界。オシャレな友達の家に泊まったら出してくれたパジャマから
タンスのスエた臭いがしてちょっと困った、みたいなライブ(なんじゃそら?)
アントンの音に、一瞬にしてびょ〜ん世界に持っていかれる快感。
口琴は頭蓋骨共鳴楽器だから、演奏してるとイケちゃう。
芝居の稽古でよく「役者がその気持ちにならないと伝わらない」と言うけれど、
それが伝わるなら、口琴の演奏を聴くことは、間違いなく気持ちいいハズだ。

口琴好きの人たちは、のんびり柔和で、でも地に足がついている。
久しぶりの挨拶を何人かと交わし、日帰りで里帰りした気分になった。
そうそう、巻上公一さんが「ひびののひび」を読んでるそうだ。
尊敬してる人だけに痛い。うわ〜ん、こんなヤツです。すいません。
見なかったことにしてください!!

11月3日・ 詩人、アントニオ猪木。
男っちゅーのは、こういうのに燃えるのか〜・・。
初めて観戦、格闘技。「PRIDE.17」東京ドームに5万3千人。
先生と元アシの戸田邦和先生、もりしゃん&はまちゃんと。
あたしだけが、プロレスとK-1とプライドの区別がつかない素人。
前日の特番見て勉強・・ちょっと怖気づいた。流血はなぁ・・。
んーでも、ショーアップされてる演出に興味あり。何事もナマで体験ね。

招待していただいた席は双眼鏡いらず。芸能人やそのスジな人多し。
うおおおぉぉぉ、歓声が降って来る。花火、爆音、バリライトの雨!
外国人女性ナレーターが地を這うド迫力声で選手紹介。す〜ぐマネる我ら。
うははは。5万人が一斉に発情してるよ。試合開始だよー。

あれ?相撲みたい。抱き合ってばかり。・・ブゥ〜〜!金返せコノ野郎!
野次が飛ぶ飛ぶ。もり&はまが選手にアテレコして笑わせてくれます。
日本人は皆、意気地なしだった。外人選手は技かけあって死力尽してんのに。
高田?自分から転んでた人。情けないなぁ〜。観客の為には戦ってないのね。
肩を脱臼して負けた桜庭が泣きながら挨拶した。「もっと練習してきます」
そこはなんとも不思議な空間だった。

全部で9試合。2分で終わる試合もあるのに5時から10時過ぎまで。長いよ。
アントニオ猪木が詩を朗読するのは、いつものことなの?
なんで立川談志がスパンコールのヘアバンドでリングアナするの?
いろんな疑問を残しつつ、タバコで煙たい東京ドームを後にした。
「1・2・3・ダーー!」拳は振り上げ切れなかった。

11月4日・ 先生、おかゆです。
仰げば尊しわが師の恩。ホンマやで。先生は偉大なる演出家だわ。
「ローハイド」の昔から、吹替えの歴史を作ってきた春日正伸先生。
その「古希を祝う会」が開かれました。
発起人・納谷悟朗、内海賢二、大平透、鈴木弘子、平林尚三(敬称略)
うわわ・・、略していいのか敬称。大御所さま大集合〜〜!

あたし達が一番下っ端だった。飛ちゃん(飛田展男)がカメラ係。
平均年齢も平均ギャランティーも出せまっせ〜ん!
気がつきゃ奥のテーブルからランク順に並んでる(笑)
・・80人位かな?クラクラするよ。こっそりしていよ。

「ボイスアーツ」って勉強会を作っていたんだ。
代表は三杉君役の溝口綾。一期メンバー20数名全員が声優デビューした。
TVアニメの主役が6人もいた時期があるんだよ。すべて春日先生のおかげ!
その教えっぷりは徹底的。誰もがコテンパンにされて強くなっていった。
今も、演技するうえで一番影響を受けてる。間違いなくね。
ボイスアーツの他にも、こんなに多くの声優が恩を感じているんだな〜。

石丸博也さんが挨拶で語った。
「マジンガーZ」のアテレコは朝10時から夜11時までかかったんです。
テイク22なんて平気でやらされる。妥協をしてくれないですから。
70才になって、春日先生は本を執筆してるそうだ。舞台にも挑戦する。
もちろん録音監督としても現役!そのパワーは何処から来るんだろ。
「ボクは信念のままに生きていく」・・言葉の力が違うね。
パーティーは10年後、また開かれるそうです。必ずや。

春日さんは私を「おかゆ」と呼ぶ。
日比野になっても、おかゆでいいわ。
ずっと、お元気でいてくださいまし。
11月5日・ これ、ください!
デジカメが欲しいの。ズームのついた。
コレだと決めて、お店に行った。
決めているけど、真っ直ぐソレを手に取ったり出来ないの。
「あ、アソコにあるな〜」と確認しつつ、まず他のを一応見てみる。
店員が親切に話しかけて来た。「女の方にはコチラが売れてます」
『しまった!ソレじゃないってのに』・・でも言えない。・・説明長い。
考えるフリして、目的のを見る。・・ダメだ、今日はもう言えない。
帰ろうとすると「迷ったらお電話ください」カタログをたくさんくれた。
『だから、決まってるんだって!』心で叫んだ。
・・なんで、言えないんだろう?・・「これ、ください!」

あれから、もう4回もいろんなお店に行っている。
でも言えない。お金だって持ってきてる。でも、その一言が口から出ない。
売りたい店と欲しい私。邪魔するものは何かしら・・。

みんなで飲み会。
食べたいものを次々に注文する人になれない。
状況をみて『ここは一品、言っとくべき?』なんて考えて選んどく。
聞かれてグズグズするのは場を壊すからね。でもソレを食べたいわけじゃない。
自分の食べたいものを他の人が注文すると、ちょっと嬉しかったりする。
遠慮する必要まったくないのに・・なんで言えないんだろう?

スーパーはいいよね。
カゴに入れて黙って出せば、欲しいものが手に入る。
商店街にはもっと安い八百屋も魚屋もあるけど「これ、ください」だから。
世間話されたら、とか、迷って決められなかったら、とか心配になる。
きっと、一番欲しいものは「ください」って言えないだろう。
その気苦労を思えば、多少高くついても、やっぱりスーパーに行く。

そういえば昔から、付き合ってる人と一番好きな人は別だったっけ。

11月6日・ アートは許すけど芸術は恥ずかしい。
日比野克彦のチラシにひかれて「ナイロン100℃」を観劇。
ケラさんの乾いた世界は嘘っぽくなくていい。
「ノーアート・ノーライフ」現代美術がすっかり笑われている。
穴の開いた絵や、3分に1分進む時計が高く売れる世界。
そうね、実際あるからね、そんなの。てか、私は価値を感じたぞ。
作家の意思・・なんて解説されれば「おお〜」って納得する。
価値観なんて思い込み。世に出れば受け手の自由。

両隣の客がゲラゲラ笑うの。確かに笑いの劇団ではあるけれど・・。
なんか笑いに来てるとしか思えない。・・いいのか?
・・いいんだ。価値観は自由だから。

芝居で笑うのにも、技術がいるね。気持ちの高揚ももちろんだけど、
観客としてタイミングや瞬発力がいる。長く引っぱるのは迷惑だ。
SETでは、三宅さんが「客の笑いの長さを読め」っていってた。
爆笑が来たら、セリフが聞こえるまで間を起き、ポンと次を言う。
うまく乗っかると勢いがつく。そこがライブの面白さ。
笑いのリズムを崩す客がいると気になるんだよね〜。

みのすけ、山崎一、三宅弘城、温水洋一・・。
芸達者な男ばかりの芝居。安心して見られました。
オリジナルのジンベースのカクテルみたいな大人の味。
深まる秋には、ちょうど良い?
・・ふうう、外は木枯らしだよ〜。

11月7日・ 贋作セクシーシンボル。
さてさて、肝心なことを聞きそびれた。
今日はゲームの仕事をしたんだけど、これはいわゆる18禁よね?
ホンのちっとだけHやった。するってーと日比野名義じゃないの?
名前は出るの?・・ま、どっちでもいいか。

すんご〜い美女!銀髪のサイボーグ。アニメじゃ来ない役だわ〜。
だんだん芽生えていく自我に悩み、もうひとりの自分と対峙する。
ひとりで掛け合いしたりね。そこそこ面白いドラマもある。
氷つくような淡々と抑揚のない声で・・と指定。
そんな女がヤラレる時は、イク。・・え〜?そんな機能はあるんだ(笑)
ヘタなんだと思うなー、こういう芝居。どういうのがいいのかさっぱりだ。

今のCGって人間そのものなのね。かといってナマじゃない。
肌の質感や瞳は人間よりキレイ。そんな女の子と酒池肉林。って、ないない。
でも消費者のニーズに合わせ、アイドルはレーザーでシミ消してツルツルだ。
漫画みたいな爆乳にこしらえて、だっちゅーのポーズするグラビアアイドル。
男の夢に向けて、現実が追いかける。

男の雑誌って真冬でもビキニが表紙。購買意欲刺激?・・あ〜、寒い寒い。
無名美男子のセミヌードが表紙の女性誌なんて見たこともないのに。
そんなのホモが買うだけ。男は身体の満足が欲しいって証拠ね、きっと。
たまに「anan」がキムタクやモックンの裸出してバカ売れするけどさ、
キムタクだから買うワケで、しかも「SEXで美しくなる」情報のおまけ付。
俳優でもスポーツ選手でもない鑑賞用の超美形かー。意外にウケたりして。
男性グラビアアイドル・・仕掛けてみる?・・いや〜寒い寒い(笑)

11月8日・ ちゅ〜ぶらりん。
風邪ギリギリ。毎日、葛根湯飲んで誤魔化してる。
どよよ〜んなせいか判断力がなく、ケアレスミス連発。
経理一向に進まず・・。

リルが家出。二日間帰らず。
もともと野良にして、ある日居付いた猫だけに、気が変わったのか?
最近、外が多かった。別宅もある。・・なら、いいんだけど・・。

日記、また書き直す。お蔵入りが増えた。
当日に勢いで書くと感情ばかり先に立つ。一晩寝かせて味をみる。
ダメだと思うと書き直す。モチベーションが落ちてるのか?
これに時間とられて読書量激減。楽しくないならやめよう。

11月9日・  エーテル音楽は懐かしのSF。
テルミン・・なんとも可愛い響きではないですか。
中華料理屋でもマッサージ店でも薬の名前でもありません。
世にも奇妙な楽器の名です。1920年代に発明された電子楽器。
楽器に手を触れず演奏します。磁場を変化させ音程を作り出すんです。
私?もちろん演奏したことありますよ。音出すだけなら誰にでも出来る。

発明者テルミン博士の数奇な運命を辿った、映画「テルミン」。
ドラマかと思ってたらドキュメンタリーなのでした。感動〜!
90歳を過ぎた博士とクララ・ロックモアの再会、手をつないで街に
消えてゆくふたりの愛らしいこと!うー、憧れるぜ〜。
おおまかな話は予備知識持っていたものの、驚きの事実満載。
ダンスした肉体の形が音楽になる楽器!もう残ってないの〜?
科学の天才は拉致され、レーダーや盗聴器を作らされてしまうけど、
興味の趣くまま製作を続けていてくれたら、音楽概念が変わっていたね。

94年5月にアトリエで「サリーの実験室」てイベントがあった。
そこに、サリーちゃんが作ったテルミンも置かれていたんだ。
正しくは「石橋楽器型」とマニアが呼ぶ簡易テルミン。
(違ってたらゴメンね、サリーちゃん訂正してちょ。)
すごいのよ!インターネットで見つけた図面見て作っちゃった!
「一台ください」って注文してある約束、まだイキてるかしら?

竹内正実さんのライブも、その頃のを見てる。
すべてを、小刻みに動かす指先に集中させる。祈りを捧げるように。
あんなふうにやってみたかった〜。
映画の公開で再びマイブーム到来か?
今やお宝モンのCD、引っぱり出して聴いてます。
ゾクゾクするな〜。神秘的。懐かしい未来の音楽よー。
「サリーの実験室」でテルミンならぬノコギリ
(ミュージック・ソウ)を弾く私。形だけ(笑)
音は似ているが、否なる楽器。
テルミンの写真なかったんだもん。

口琴を使ってウソ文化を語る「Fの領域」という
パフォーマンスをやりました。

11月10日・ ヒジに字。
産経新聞の夕刊が廃止になる。それも首都圏だけ。
通勤時間が長くゆっくり夕刊を読める人が少ないから・・と、
解説がトンチンカン。関西では需要があるんだって。じゃ〜私は関西人。
文化面が多い夕刊は主婦の友よ。ニュースならTVのが早いし詳細。
むしろ朝刊は前日の復習、時間がなければ読まないもの。

消え行く新聞少年。人の手から手へ。・・時代かな〜。
今も、集金に来て洗剤置いてく。銀行自動振込みでいいのにと思う。
新聞には関心のない記事も同等に掲載されてる。それは無駄だろうか。
パソコンのように興味あるニュースが届くよう登録すれば便利だけど、
外との距離は広がるばかり。情報との付き合い方、かなり大切。

新聞紙は大きい。朝の食卓でめくるには手に余る。そこがいい。
一面広告のインパクトは、この大きさでなければ出せない。
休刊日だと寂しいけど、明日には資源ゴミ。汚れ防止の汚れ役。
すぐ溜まって置き場所に困る。新聞の山があるだけで雑然とする。
生活感が出るのは生活に浸透した物だからだ。
別に読みゃしないけど、端からめくって目を通す。習慣。朝の一服。
害のない4コマ漫画で日常に安心する。
・・朝刊もなくなっちゃったら、ワイドショーで一日が始まるのか〜。

先生に夕刊がなくなる話をした。
「日刊スポーツって何系?サンスポでなくていいよ」
・・それだけのことだった(笑)