2001.10.11〜10.20
10月11日・ ゆく年、くる年。
なにかの拍子で現実感がポッと増すことはないですか?
視界がハイビジョンになり、脳に散らばってた思考が一気に整理され、
ポジティブに覚醒する。存在がクリアになる一方、世界は止まって見える。
それは地下鉄の中でだったり、ほんの瞬間だったり、自己制御できない。
アドレナリン系の誤作動なのかな〜。
だいたい、ヒトはどんな現実を生きているんだろう。
内世界の差異って、何処にどれ位あるの?

無意識に顔が下がる。
頬の肉が、肉の意思で下りようとしてるのを感じる。
DNAの時限装置は正確ね。もう降参。変化を愉しもう。
ウチの家系は、アゴより頬が下!がババアの定番顔。
ゆっくりとトランスフォーム。チェンジしていく力点。
こんな不思議な感覚、40になるまで知らなかったぞ。

明日死んでも悔いの残らない毎日を・・20代は走ってた。
欲しいものの為に走るうちは、死んだら悔いは残るのに・・。
けど、全力が与えてくれたものは、留まる余裕に繋がってる。
誰かに認められなくても、生きている実感はある。
個であれば、アナタを現実として認めることも出来る。

10月12日・ ど根性巫女。
秋は祭りの季節でもありますね。
収穫を祝う。美味しい恵みをありがとう。
田舎育ちなもので、こんな写真もあります。
町内の神社の秋祭り。
小学6年生の中から数人が選ばれて巫女になるの。
お神楽も舞う。鈴や榊の枝を手に笙やひちりきに合わせて。
これは、子供ながらにかなりのハレ舞台です。

2週間ほど社務所に練習で通ったの。
華やかさのある「鈴の舞」に選ばれたくて頑張ったんだ。
鈴が四方に4段づつ付いた、赤ん坊のガラガラみたいなの持つの。
手首のスナップで、シャンシャンて鳴らす。
持ち手に付いた5色の長いテープ飾りが揺れてキレイなの。
この鈴、鳴らすより鳴らさないでおく方がずっと難しい。
ちょっと斜めに傾くと、チャラ。緊張する〜。

で写真、眩しいからこんな顔・・ではありません。
この時の体温39度。耳のリンパ腺がはれて、もう最悪。
音も聞こえないし、立ってるのもやっと。
ぜーーったい踊る!強烈な責任感で必死のお務めでした。
実は、本番は朦朧としていて記憶にないくらいです。

その後、両耳の後ろがコブ取り爺さん状態になり、手術。
学校も長期欠席。その間に卒業写真の撮影があったのよ〜。
だから、卒業アルバムは皆の上、四角の中にひとりでいます。
無理をした代償は大きい?・・いや、これもまたトクベツな体験ね。

10月13日・ 最初のお約束。
「こんなサッカー日和に何してんねん」
はるばる豊田スタジアムまで応援しに行ったたけぽんに叱られながら、
静岡スタジアムへの応援はTVからしたわ。
ジュビロ対アントラーズ。すごいね、盛り上がってるね。
前回のナビスコ杯「なぜサッカーには雨天中止がないの?」な荒天。
プロ選手はともかく、サポーターの数にはビックリしたー。
応援するという行為に命がけだ〜(笑)

試合はゴン中山の、かなりキーパーチャージな1点が大きく響いた。
ジュビロからすれば「最後まで諦めない闘志のプレイ!さすが隊長!」
アントラーズからすれば、「反則だ〜!審判なにやっとんじゃ〜!」だ。
戦いの場では、ひとつの事実は双方の解釈があって当然で、
それを裁く審判も人の子、間違う事もあって当然。
解説もアナウンサーも、なんとな〜くお茶を濁して進める。
ココロの奥で「今のヤバイんちゃうん?」皆な疑ってんだろうな。

そう思ってたら、あたしの間違いでした。
「スーパーサッカー」で水沼さんが教えてくれた。「キーパーチャージって
概念はもうなくなったんです」え〜、知らなかった、勉強不足でした。
サッカーのルールは毎年のように変わる。で、戦術とかも変えるんだって。
いったいいつから無くなったんだろう・・学習したの最近なのになぁ・・。
ひとつの事実には、人の数だけ解釈があり、時間と共に変化もします(笑)

そうか。審判は間違う事はありえないんだ。
審判が決めた事が、正しいことなんだから。
・・ゲームってそういうもの。勝敗は取り決め。

誰に頼まれたワケでもなく無償で応援するサポーターに返って来るものは
どんな喜びなんだろう・・?きっと、ピュアなんだよねぇ。
たけぽんはtotoすらやらない。賭けの対象にするなんて出来ないんだって。
ヒトが生きるエネルギーを何に向けるか、使い道は自由です。
最低でも、その自由は守りたいね。

10月14日・ 前略、クールなナイスガイ様(笑)。
「これで3回め。昼はあの席だったの」
隣のOLらしきふたりの会話。スタジオライフ見て来た、とか
コンボイがどーだとか、納得の劇団名が飛び交う。
*pnish*(パニッシュ)は美形男子マニアの間ではもう有名らしい。
ロビーじゃナマ写真売ってる。本人たちもそれでいいんだろう。
若い女だらけの客席。立ち見も出る楽日です。

今回もシチュエーションコメディー。
個々のキャラクターを立たせたうえで、等身大のテーマを語らせる。
難しいことは抜きにして自分達が楽しくやろう、成長しよう。
アクションやりたい・・やりました。ダンス踊りたい・・踊れてきました。
そんな素直さが美形劇団好きお姉サンの「見守らなきゃ」のツボを直撃。
「人は変わっていけるか」葛藤するテーマも少年ぽくって好感度大。
無理にスタイリッシュにならず、不器用だけど一生懸命がいいよ。
人気が出ても奢らず、計算せず、自分をさらけ出すようにね。
それが魅力のグループだと思うから。

でもさー、なんで「ワルに変われるか?」で葛藤するの〜?(笑)
皆な「いいひと」が滲み出てるだけに無い物ねだりで可笑しいー。
しかもカッコ良すぎる終わり方に照れてラスト付け足したでしょ〜?
観客に印象付けて、ケムに巻いたような終わり方にはなってたけどね〜。
ところどころ芝居自体が天然ボケ(笑)。

じゃ、ダンスコンテストもガンバってね。
細かい感想はメールしま〜す。


                       *かしこ*

10月15日・ 気にならなければ好しとする。
半年ぶりの「ハンター×ハンター」。
レンタルとセルビデオの新シリーズなのに台本には第63話と書いてある。
内容も繋がってる。そう、いつかオンエアするかもね。(無責任)
録音スタジオと監督が新しくなりました。絵はカラーで入ってました。
みんなの雰囲気は変わっていません。座る順番も位置もほぼ同じ。
不思議と声も思い出すね。家で読んだら忘れてたけど・・。

ハンターで要求される芝居って、何はともかく「張らないで」だ。
響きの大きい声を出すなって事なんだけど、他と全然レベルが違う。
普段の喋る声よりずっと小さい。でも囁くのとも違うの。声にはする。
口元に溜めて、マイクとの間に置くイメージかなぁ・・。
そうすると音量のあるスピーカーで聴いてるディレクターの耳に優しい。

声優修行の第一歩は発声練習。大きく腹から声出せ〜!
卒業公演には舞台をやる。まだ、今でもそうですか?
高山みなみは養成所の頃、「卒業公演に出たくない。舞台やっても
意味ないと思うんです」と相談して来て、私を驚かせた。
彼女の主張は、斬新で正しかった。
まあ、意味なくはないんだけど、別モノだと認識すべきだとは思う。

翼をやり始めた時、大きい声を出せば出すほどTVからは小さく聞こえて
来るのに気がついた。ミキサーさんは一定の音量にしてるから大きいと絞る。
先輩は叫んでいるシーンでも「叫んでるように聞こえる芝居」をするだけだ。
だから喉も潰れない。言葉もはっきり聞き取れる。迫力もある。
音圧とか倍音の混ぜ方のテクニックなんだよね。
「遠くへ、距離感出して」舞台なら、まず声を大きくする。
声の仕事の人は、音程を変える。

最近は、機材の性能がスタジオでも家でも進んでて、芝居も細かく伝わる。
それ以上に、人間そのものの受信機能が変化してるとは思うんだけどね。
「ハンター」なんかは特に先鋭な作家が作り出す世界観。
自分の認める領域を侵してくる痛さはいらない世代に向けられている。
アニメの声優芝居の変化は、そんなニーズかもしれないなぁ・・。

10月16日・ 雲隠れ別人遊戯。
あー、あたし自分が何者なのか、サッパリわかんないわ。
だから、場に応じての振る舞いがすごく不自然。
これでも気は遣ってるんだけど・・。たいがいハズレる。

「アリー myラブ」にまた出演。この間と同じ役、つぶらな瞳の男の子。
皆なで唄もあります。幼稚園児だからヘタでいいって。ほっ。
麗サンが楽譜見ながら「これヘンな音だよね〜」。読めるんだ、楽譜。
あたしアバウトしか解んない。音程取れない。読めるようになりたいなー。

デビュー前から同じ勉強会にいた木藤聡子と久しぶりに会った。
きっこは麗サンと仲良しらしく、間の席に座った私も会話に加わった。
ずーっと麗サンは日比野を新人だと思ってるんだろうと信じてたの。
だから、敬語で接して来た。でもきっこを交えると関係が崩れる。
「小粥ちゃんさー」麗サンがぽっと言った。あれれれ〜?
そういえば、こんなふうに会話してた記憶が・・。
勝手に意識して苦手に思ってたみたい。アホだったわ、ごめんなさい。

終わってから飲みに行った。小杉十郎太サンが隣に座った。
「こいつとは20年以上の付き合いだから」はぁ〜?覚えてるの〜?
確かにアーツビジョン創立の頃、ナレーション研究会で一緒だった。
絶対、忘れられてるだろうと、挨拶にも行かなかったのに。
「同じ新宿松竹の興行部で働いてたんだよ」・・うそぉ〜?
すっかり忘れていたのは私でした(笑)ごめんなさい、小杉サン。

日比野になってから、あちこちで新人扱いされるのに慣れ、自分でも
そう振舞うことでラクになる部分もあった。喜んでたりもする。
けれども、名前変えても顔は変えられない。過去は消えない。
どうせ、あたしなんか・・に逃げて来た。
そういうの、そろそろやめよっかな。疲れたし・・・。
自分に言い訳しながら生きるのって、カッコ悪いよね〜・・。

10月17日・ 天使な睡魔。
結局、朝まで飲んでしまった。
ガ〜、あったま痛て〜〜。ワインは残ります。気をつけましょう。
お昼に起きて、コーヒー飲んで、また寝た。雨なんだもん。
うだうだする一日にしよう。・・ん、こういう決心は簡単だ。

もりしゃんからメールが来た。
「朝まで飲んじゃって、今、部屋でうだうだしてます」
離れていても心はひとつね、あたしたち・・(笑)
そんで長電話。雨音に混じって聞こえる優しい声。ちょっと幸せ。
横浜までグランパスの応援に行く予定、断念させたかも・・。
ま、いいよね、雨だし。許してね。

LINDAさんからメールが来た。
「ひとりで国立までジュビロの応援に来たぜ!」
そうか。反対側のスタンドには、たぶんたけぽんがいるんだな。
で、鹿島にはセレッソの応援しにウッチーが行ったって聞いた。
清水くんはどうしたかなぁ・・?反対側にいるのかな〜。
それぞれ単独行動。孤独な男たちだ・・(笑)

ジュビロ戦の放送は夜中だから、エスパルスを見てた・・ら、寝た。
目が覚めたら、全試合結果やってるとこだった。・・あ、見ちゃった。
・・仕方がないので、ベッドに入ってちゃんと寝た。
なんて雨らしい雨の一日!


10月18日・ 丑三つ時の大魔神。
か、か、金縛りにあいました〜〜!
アレはどっちが先なの?来る!って予感で起きるじゃない、意識が。
そん時はもうかかってるの?なんで、わざわざ起きるの〜?
回避してホッとして、もう一度眠るのと、気失う時の違いは・・?
・・かなりベテランな疑問です(笑)

高校に入ったばかりの頃は毎週のようにあってました。
思春期に環境の変化とくれば、やっぱり自分で作ってる現象なのかも。
でも、コントロール効かないから、アセるよね〜。
リアルに恐ろしかったのは、大魔神に襲われた時。
ベッドの上から、剛速球投げられて・・って、いや、元祖の方。
ドォオ〜ン!って揺れて、地震?て目が覚めた・・ら、足があった。
身体の両脇、藁の長靴。天井突き抜けた腰のあたりからぼやけてた。
見下ろされてる視線は感じる。田舎の落ち武者?・・大魔神っぽいの。
大魔神は藁の長靴じゃないだろうって?うーん植物の匂いがしたのよー。

それから、顔が近寄って来た!お腹にすごい重さが圧し掛かる!
い、痛い〜。潰れる〜。息が出来ない〜!!!誰か〜助けて〜!
・・したらね、あたしの頭の後ろから、女の人が出たの。
髪の長いスラっとした若い女。で、強い口調で大魔神に何か言った。
内容はわからない。薄れていく意識の中でふたりが消えてくのを見た。
朝起きたら、信じられないくらい汗かいてたよ。

昨夜の金縛りは、右肩から腕をメッタ刺しにされた。
痛くはなかったけど、肌と血の感触が夢じゃないリアルさでさー。
冷静な自分が「ハイハイ、金縛り」って思ってるんだけど、怖かった〜。
守護神さまがいるなら毎回助けて欲しいものだわ。
10月19日・ 少女の不安は神を助ける。
や〜っと見て来ました。「千と千尋の神隠し」だって皆が薦めるんだもん。
でさ、タイトルの意味がやっと分かった。この日本語ヘンじゃん?
う〜ん、神を隠してるのは人間ってメッセージだったか〜。(深読み?)
たしかに認識(再発見)してあげなきゃ八百万の神も泣く。

面白かった〜って万人がいえる工夫が随所にあるね。
動きだけ楽しむ子供から、社会風刺や暗喩にウナる大人まで飽きさせない。
てんこ盛り過ぎて、肝心なモノ見えてたのか不安になったくらいだ。
繰り返されたモチーフは、千&赤ん坊が外での労働によって自立する過程や、
存在の不確かさ、見極める力、経済と生産、自然破壊・・。
なんだか道徳の教科書みたいなんだけど、でも違うな。
キタナイモノへの描き方が執拗。黒く蠢くヘドロ、粘っこく付きまとうモノ、
吐瀉物への執着は何?ハエやネズミや蛙、蜘蛛、愛はソッチ側〜?
実はこれ、虫入りのキャンディーみたいな映画なのかも・・。

千は、あの世界では全くの主人公で、根拠なく愛されてゆく。
なんだってウマイこと進む。
千尋は母に愛されていない。豚の記憶もなく同じセリフを繰り返す母。
そうだよ、現実はホコリを被って待っている。
あの日、川は靴と命を助けてくれた。
だから歩いていくしかないのよね。

そんな感じ。前提に現実の絶望感があっての前向き。
こういうのが動員数1位って・・みんな不安なのかなぁ・・。

10月20日・ お水の大捜査線。
突然ですが、警察に捕まったことがありますか?
あたし、パトカー乗りました。取調べ受けました。
22年前の話です。

その頃在籍してた劇団櫂は昼が稽古の為、夜のバイトをしてました。
今でいうところのキャバクラ?お酒作ってお話相手するだけの店。
短時間でそれなりの稼ぎになるし、芝居のチケットもサバける。
先輩女優さんも全員、夜の蝶だったな。劇団ってそれが普通だった。

最初にバイトしたのは、新宿西口の元・タカラジェンヌがママの店。
ピアノの生演奏で客や女の子が歌う。まだカラオケのない時代でございます。
ステージの〆は「スミレの花咲く頃」。
ズッシリと沈む赤い絨毯。シェフの作る高級中華料理。箸は象牙。
ママの娘が「JAC」所属でドラマに出たりしてて芸能界関係者も多かった。
そんな所でお水修行したから、タバコに火つけるのとかウマいのだけど、
逆に絶対したくないね、ふつうの飲み会では。

引き抜きや客とのトラブルがあってやめた後、バイト雑誌見て電話したのが
吉祥寺の似たようなお店。劇団から徒歩5分。
面接通って、初めて店に出た日、カウンターでお客さんと飲んでたら、
「キミ、ちょっと署まで来てくれる?」腕をむんずとつかまれた。
風俗営業取締法違反。女の子に相手させる許可を取ってない店だったの。
まだ店長の名前も覚えてないってのに、あたし逮捕されちゃった〜〜!!

正直な知らぬ存ぜぬが気に入らなかったのか、武蔵野警察はしつこかった。
まさに刑事ドラマ。「浜松」を漢字で書けないアホだったけどね。
午前2時、悪いのは店側なので開放されるも、電車は無し。
「じゃ、パトカーで送るから」・・どっひゃ〜!
大家さんに見つかるのを怖れて、遠〜くで降ろしてもらいました(笑)

なんでこんな話を今日の日記に?
いや、それは・・書けない。およよよ。