『仏説阿弥陀経』
(ブッセツアミダキョウ)
     
苦悩の衆生に本願のこころが現れる相(すがた)が説かれている経典

 
 前回まで、浄土真宗の拠り所となる三つの経典「浄土三部経」の中の『仏説無量寿経』と『仏説観無量寿経』をご紹介しました。
今回は3つ目の『仏説阿弥陀経』をご紹介します。

 この経典は葬儀や法事などでよく読誦されるので、親しみを感じられる方も多いと思います。ご門徒の方でご一緒に唱和される方もおられます。

 この経典には、阿弥陀仏とその浄土の本願のこころが具体的な形としてあらわされています。これを功徳荘厳と言います。その浄土にうまれる道として「執持名号(しゅうじみょうごう)」とただ念仏の信をすすめられます。そして、この念仏の信心こそが真実であることをあらゆる仏さま方(諸仏)が証明され、讃え勧められます。これを証誠(しょうじょう)と言います。さらに念仏するひとが仏さまから常に守られ、護念(ごねん)されていることが説かれています。

従って『仏説阿弥陀経』は、私たち苦悩の衆生(機)に本願のこころ(法)が現れる相(すがた)が説かれている経典なのです。

  
安正寺所蔵の『仏説阿弥陀経』