七高僧(ひちこうそう)
     
 親鸞聖人は、釈尊の教えを正しく受けとめ、明らかにしてくださった方として、特に七人の高僧を大切にされました。
 
 インドの龍樹菩薩・天親菩薩、中国の曇鸞大師・道棹禅師・善導大師、日本の源信僧都・源空(法然)上人です。

 親鸞聖人は「正信偈」で七高僧の教えを確かめていくにあたって、『大聖興世正意 明如来本誓応機(大いなる聖者・釈尊が世に出られた正意を顕らかにし、阿弥陀仏のお誓いが、私たち一人ひとりにかない、応えているということを明らかにしてくださっています)』と記されています。
 
 七人の方々はみな生きた時代も地域もばらばらです。その方々が、同じく阿弥陀仏の本願の教えをいただかれ、念仏の仏道を著書に記し、残してくださっています。
 その七高僧のことばは、阿弥陀仏の本願の念仏が時代も地域も超えて人々を救った証言にほかならないといえます。そこに親鸞聖人は、この七人の方々の大きな意義を見ておられます。

 仏教は、インドで起こり、中国や朝鮮半島を経て日本へと伝わりました。この仏教伝播の歴史は、仏の教えに生き、伝えた人々の歴史にほかなりません。もっといえば、仏の教えに出遇い、仏の教えに救われた人々の歴史といえるでしょう。そのような歴史を経て、仏の教えは親鸞聖人にまで伝わったのでした。

 親鸞聖人が七高僧の教えに聞き取ろうとされているのは、自分に先立って、阿弥陀仏の本願に出遇ってくださった数限りない人々の歴史の証言ではないかと思います。