お経(きょう)
 
お経はお釈迦様の教、 そして私たちを影す鏡

   インドでは、お釈迦様の教えをまとめたものを「スートラ(糸)」といい、それが中国に伝わり「経」(けい)という漢字に訳されました。この「経」は織物の「たて糸」を意味します。これが「お経」といわれる由縁です。
 実際に織物はたて糸がしっかりと張られていないと、よこ糸をいくら重ねていってもきれいな布が織れません。お経はこのように織物を貫くたて糸にたとえられ、お釈迦様の教えが私たちの生活のなかでの依りどころであることの大切な意味を教えておられます。

 親鸞聖人がお選びになった七人の高僧の中で五番目にあたる善導大師はお経のことを「経は教なりそして鏡なり」とお示しになりました。経はお釈迦様の教(おしえ)そして私たちをうつす鏡であるということです。鏡がなければ私の顔そのものが見えません。

 お釈迦様の教えは多岐にわたり俗に八万四千の法門ともいわれますが、浄土真宗は三つの経典(浄土三部経)を所依の経典としています。
 ①仏説無量寿経
  親鸞聖人は「真実の教を顕さばすなわち『大無量寿経』
  これなり」と示されました。
 ②仏説観無量寿経
  お釈迦様がご覧になった人間の心の中が詳しく述べられ
  ています。
 ③仏説阿弥陀経
  すべての仏様がそろって阿弥陀様のおはたらきをほめ
  たたえておられる教えです。
 
安正寺所蔵の「浄土三部経」