正信偈の教え➅
覩見諸仏浄土因 国土人天之善悪
[読み方] 法諸仏の浄土の因、国土人天の善悪を、覩見して
[意訳] あらゆる仏の浄土の成り立ちと、諸仏の国々の人々の善し悪しの有様を見定めたうえで
諸仏の浄土
「正信偈」のこの句には、法蔵菩薩が、諸仏の浄土の成り立ち、そして、それぞれの浄土のありさまの違い、さらに、それらの浄土に生きる人びとの善し悪しの差をはっきりと見究められた、ということが詠われています。
『仏説無量寿経』によりますと、法蔵菩薩は世自在王仏の教化に出遇われて、自らも仏に成ってすべての人びとを救いたいという大きな願いを発されたのでした。法蔵菩薩は世自在王仏に教えを請い求められました。「十方におられる仏さまがたは、それぞれどのようにして浄土を実現なさったのでしょうか。そのことをお教えください。私はそれを承って、教えの通りに修行いたします。そして、私も浄土を実現して、悩み苦しむ人びとを救いたいと存じます」と。世自在王仏は、法蔵菩薩のこの深い願いをお聞き入れになりました。そして、二百十億の諸仏の浄土のありさまと、それらの浄土に生きる人びとの様子をお示しになったのです。
法蔵菩薩は、世自在王仏がお示しになった多くの仏の浄土と、それらの浄土に生きる人びとのことについて、みなことごとく覩見されました。つまり、それらをはっきりと見究められたのです。そしてその上で、法蔵菩薩は、他の仏の浄土とは違った浄土を実現したいという、この上にない、殊のほか勝れた願いを発されたのです。殊のほか勝れた願いというのは、真実に無知でありながら、教えに背を向けている凡夫、いわば、どうにもならない凡夫をこそ、迎え入れる浄土を実現したいという願いであったのです。法蔵菩薩は早く仏に成ろうとしておられましたが、もし、その願いを成就させることができないのであれば、むしろ自分は仏には成らないとまで誓われたのです。
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■定例法座■
6月22日 午後1時~3時
法話 『歎異抄に学ぶ』
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