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熊本県長洲町安正寺

エコウ10月号第382号
2007年10月1日発行

出離の強縁
本願は人間関係の深さを知らせる

 早いもので、一年の後残り三ヶ月。あっと言う間もありませんね。光陰矢の如し。とは言い得て疎かに出来ない事実であります。釈尊の遺言に、怠る事無く精進せよ。は金言であります。精一杯の人生にはそれ相応に功徳が与えられます。諸有衆生(ショウシュジョウ)総ての生きとし生きるもの、聞其名号(モンゴミョウゴウ)如来の願いを心の底に受け止め、信心歓喜(シンジンカンギ)心に永遠真実の精神に心底に了解して納得すれば、なんの疑いもなく本願海に流入すれば、ふしぎにも穏やかな広大無辺なる精神界が開かれて参ります。それは智慧と慈悲の働きの中の世界であります。
 智慧は仏界に於ける認識であります。認識は常識であります。疑いも無く其の侭運行されている自然なる相ですから素直な人生が開かれて参ります。毎日毎日の日暮しが、法則に則って営まれて参ります。自然法爾(ジネンホウニ)自然そのままが法に則ってある関係で、計らいがありませんから、無理がありません。無理がありませんから素直に受け取る事ができます。受け取る事によって、全責任が負えるのです。全責任が負えればこそ安心して自由に全力を尽くす事が出来るんですね。其処に今の完成があります。今とは永遠を持った今です。過去と未来とを切り離した今ではありません。永遠を持った今ですから後悔がありません。後悔は、行動に自由に選択出来る中での事です。行動は縁起に依りますから、何か一つを選択しなければなりません。一挙に二つの仕事は出来ません。常に一つの選択を迫られ、その選択を決定する場所は一つに限られています。そこに業の決定性があります。これを宿業と言い、宿業其の物は限られたその人自身のものであって、また如来自身の行動の他にはありません。そこに一人の行動が如来の行動になり、自覚として佛と共なる凡夫の日暮し、が見いだされます。NHKの連続朝のドラマ「どんど晴れ」は一日五回の放送がありNHKが力を入れている番組で視聴者の評判も上位に上がっているようですが、沖縄出身の女性俳優が主役を演じ、出演者も力量を十分発揮して見応えのある作品であると思います。番組も九月一杯で終了の様ですが、沖縄の主演者の一家もずっと見ていて、久し振りに帰郷した時、皆が本人の名では無く、物語の役名で「お帰りなさいナツミ」であったと御本人の言葉でしたが、皆が一心になって真の心を大事にして心おきなく安心した宿の一日が保たれる様にとの心組みには、失われ様としている和国の精神の顕彰に力を入れている努力の後が十分に発揮されている様です。千の風に乗ってと言う歌のレコードが驚異的な売れ行きを見せる中、このドラマも、風に乗ってと言うテーマ曲ではありますが、千の風とこの風の違いは、ひたすら人を思う心が常に現前の現実の人に注がれていると言う事です。昼のスタジオパークで主演の比嘉さんが大女将である草笛光子さんの死に出会って、床に横たわる顔に縋って涙一杯で演じて終わったら、ほっとした矢先、今度は違った角度から撮影します。ハイスタート。と言われてサーどうしよう。涙は精一杯出してしまった後。もう出そうに無い。カメラは回っている。その時、死体の草笛さんの手がソット私の手を握って下さったその暖かい手の温もりが、暖かい大先輩の一杯のお心が心に伝わって、一杯の涙の演技を続行する事が出来て、有り難い御縁を頂きました。と言う言葉に、私の胸も詰まり、涙がフット湧き出て参りました。これが一心の世界であります。お元気の事と拝察致しますと言う、深い念じ合いの世界を弥陀の本願と言い、慈悲と智慧の働きである、念仏の事実を、聞思して行く生活を通して、如来の働きの中の生活と信知して行く生活こそ、一日が永遠であり、永遠が一日である日暮しをこそ、浄土真宗の往相、還相、の体であるお念仏にこそ、現実の苦悩を超えて、今、大悲無捲の摂取の中に生かされて行くのであります。