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熊本県長洲町安正寺

エコウ12月号第444号
2012年12月1日発行

真宗興隆

至心回向 K

 十二月八日は成道会。お釈迦様が御悟りをお開きになった日となっておりますが、大東亜戦争を始めた日でもありますね。今日領土問題が起きておりますが、曽っての日本の行動が問われている事でもありますね。何れも解決済みと云って済まされる物でもありませんね。それは一切が業として保持されていて総て帳消しとされる事はありません。身、口、意、の三業。身と心の生活は、身に心に記識されて、身と心を形成して行きます。「習い性となる」と云う言葉がありますが、何度も繰り返して居る内に、元から生まれつきあったかのように身と心を作って行きます。其処に学習の大事さがあります。人間の素晴らしさは、目を見張る物がありますが、日常に起っている事実は非人間的な犯罪の横行に、悲嘆の感に覆われる今日。悲しい事ですが、煩悩具足の身であれば、縁に触れてはその場限りと思っても行為は、方向を決定し自己自身を推し進めて行きます。業道自然。自業自得。善であれ悪であれ、身口意(シンクイ)の三業は行動と言葉と心に強烈にインプットされ、その世界から離れる事は困難になってズルズルと思いがけない方向に転がりこんでしまいます。それを見抜かれた所に佛法の真実性があります。今年九月廿四日nhk午後十一時スーパープレゼントで放映されたジル・ボルト・テイラーの言わずにおれない事として、悩神経解剖学博士自身が左脳出血で左脳神経失調から苦脳の八年を経過して奇跡の復活を得て、左脳と右脳のコンビと、全細胞全神経、縁ある幸運な人間関係に依って与えられた喜びは、伝えなければならないと云う使命感に打たれて両手と体を振り絞っての解説には打たれる物がありましたが、実は其処に、阿弥陀仏の大願業力の法界を目の当たり見せられたと同時に法の働きが右脳に、機の働きが左脳に開かれている事をしらされました。そして右脳は瞬間の真実相を増減する事なく、ありのまま、そのまま、法爾の瞬間を左脳に伝え、左脳自身の開眼を待っている右脳の弛まぬエネルギーはそのまま大願業力を表す、阿弥陀如来の回向その物を表している様に思われました。十方微塵世界に満ち満ちていらっしゃる本願のイノチ。衆生の心想中に入りみちたまえる誓願のエネルギーは六十兆と云う細胞。五億を超える神経系の瞬時の交換は人工のコンピューターの及ばないエネルギーは驚く程であり、不思議と云うより他にありません。ジル・ボルト・テイラー博士の願い通り、右脳の涅槃の世界に目覚めて貰えれば、人間が本来の人間に立ち返り、苦脳無き法爾の世界に生かされる事は自然の現象で、宇宙全体に利する事は必然であると断言しています。親鸞聖人が九十年の生涯を挙げて、御苦労なさった成果が「顕浄土真実教行証文類」全六巻で釈尊八十年の生涯を表した仏道は、中国の言語で表せば、眞人道でありましょう。漢訳された経典に「過度人道経」と云う、人生の真意義を表す経典がありますが、それは親鸞聖人が真実の教と表される「大無量壽経」であります。本願真実が成就された言音である「南無阿弥陀仏」の、世間を超えた真実性が、独り独りの全生命に入り満ちて、光り輝き、一人の生涯を無上尊と完成せしめる働きが、如来の一心であり、世に出興された釈迦牟尼如来の教化の一心であり、その事を果たし遂げさせる阿弥陀仏の一心であります。その一心を、至心と言い、その一心なる至心が私達の全エネルギーとなって働いて下さってるのが至心回向のお働きであり、その成就が真実の信心である、「信楽」(シンギョウ)阿弥陀仏のお心が、私の心に至り届いて下さるのを至心ニ回向セシメタマへリと戴くのです。