日帰り湯河原梅見紀行? 2004.2.29
うち〜小田原

今年はがとても気になる。梅、梅、梅・・・梅が見た〜い!
梅といえば熱海梅園が有名だわね、と思っていたら今は湯河原の方がいいんだそうである。
んじゃ行って見よう!ということになった。
当日のお天気は曇り空・・・雲ひとつない晴天よりも、こんな日が好きなので元気に家を出た。
・・・まさかこのあとに悲劇が訪れようとは夢にも思わない二人であった。(?)
小田原城の梅子 悲劇その1

9時半、小田原駅。小雨の降る小田原城へ。
お城好きのオットは、なぜかここの動物園も好きで、今日も道すがら寄ることにしたのだった。
お城と動物園という組み合わせが妙で、でもなんだか惹かれてしまう不思議な場所。
前に来たのは結婚前だったので7年以上前のことだ。まだ残ってるだろうか、あの動物園・・・
あった。天守閣は素通りし、まっすぐゾウの梅子のもとへ。

梅子は畜舎の中に入っているらしい。「ぞう〜ぞう〜」としつこく呼ぶと梅子は出てきた。
はしゃぐ私たちに梅子も喜んでいるようだ。
オットが梅子の周りを駆けると、梅子もついて歩き、ひとしきり遊んだあと畜舎へ帰っていった。
オットは梅子を追って畜舎の裏へまわった。そこからは梅子の水飲み場が見学できるようになっている。
そこでもオットは梅子に向かって飛んだり跳ねたりして見せた。梅子は喜んでいる・・・のだろうか?
ふと貼り紙に目がとまった。「ゾウが水をかけることがあるので気をつけてください」という内容。
あっ、と思った瞬間、ビシャ!!そう、オットは見事に頭から水をかけられてしまったのだった。
梅子は放水第2弾も浴びせかけてきたが、かろうじてそれは避けた。
言葉もなく立ちすくむオット。喜んでいるとばかり思っていた梅子が怒っていたことを知ってショックだったらしい。
そのうち怒りがふつふつ沸いてきたらしく、打って変わって傘を振り回して梅子を挑発。
明らかに怒る梅子。怒ったゾウは怖い。たまらず逃げ出した私たちを梅子は走って追ってきた。
動物園のゾウが走った姿をみたことがあるだろうか。しかも自分目がけて。梅子こわいよう。
でも梅子が一番こわかったかも・・・梅子ごめんねっ。

小田原城
のぞきみ梅子
梅子
小田原〜湯河原

快速アクティーで16分。湯河原は近い。
旅ののっけからゾウに水をかけられたオットは、テンション下がりきっている。
ゾウの水・・・ようく考えると、ゾウの長い鼻を通ってきた水、しかも水飲み場の水は雨水を貯めたような水だった。
オットの、おろしたてのリュックと洗いたてのジャケットは、なんだかゾウ臭いのである。葉っぱもついてる。
この日から、このリュックとジャケットは「ゾウの」という枕詞が付くことになった。

嵐の湯河原梅園 悲劇その2

湯河原の駅前には湯河原梅園行きの臨時バスが出ていて行列ができていた。
私たちも並んでバスに乗り込んだ。バスが坂を上るほどに雨足が強くなり、視界が悪くなっていく。やな予感。
20分ほどで到着、バスを降りると雨に加えて強風まで吹き出して、お花見の露天は風で吹っ飛びそうになっている。
ここでお花見弁当でも買って梅を見ながらお昼ご飯♪という予定が台無し・・・
湯河原梅園は山肌に沿って梅林が広がっていて、見ごたえがある。濃淡のピンクが雨のなかに滲んでいる。
香りを嗅ぎ分けたりしながら梅の下をのんびり歩いたら楽しそうだ。風雨とぬかるみさえなければ、だけど。
下から見上げるだけで断念した私たちの横を、山歩きと防雨の完全装備の人たちが通り過ぎて行った。にくい〜。

バスで駅前まで戻り、ロータリーにあるうどん屋で昼食。
あぁ、こんなとこまで来て普通のうどんを食べてる私たちって一体・・・でも冷えた体には有難かった。

湯河原梅園
ぬれそぼる私
万葉公園 独歩の湯

昼過ぎには雨が上がったので(ムキ!)「独歩の湯」へ行くことにした。私は無類の足湯好きなのである。
独歩の湯」は日本最大の足湯施設。(使用料 大人300円)
湯河原駅から不動滝・奥湯河原行のバスで12分ほど。落合橋下車。バス停からは細い坂道を降りていく。
タオルの貸し出しは有料なので、タオル持参で行くと良い。更衣室でゴムサンダルに履き替える。
丸い敷地の中に効能?の違う9つの足湯があり、それぞれ底に石などの細工があって足の裏を刺激する。
中にはかなり痛いのや何の刺激もないものや熱いのやぬるいのがある。
自分好みのが見つかったら、足湯のふちに腰掛けてボーっとするのが気持ちいい。
温泉と違って、オットと2人で入れるのが楽しい。家族連れ、カップルで賑わっていた。

独歩の湯
極楽極楽
こごめの湯

独歩の湯から少し歩いたところに町営立ち寄り温泉「こごめの湯」がある。
入湯料1000円、ここもタオルは有料なので持参で行くべし。
泉質は無色透明な弱アルカリ泉で、肌がしっとりとして良い感じ。湯船も広くて気持ちいい。
「万葉の湯」と「小梅の湯」が日替わりで男女入れ替わる。この日の女風呂は「小梅の湯」だった。
ここは休憩所や食事どころもあり、食べ物に持ち込みもOKらしいので、1日中ゴロゴロして過ごすこともできるのだそうだ。
この日は梅の時期だったせいか激混みで、座る場所を探すのにも苦労するほどだった。

こごめの湯
小梅堂

きび餅で有名な小梅堂へ。こごめの湯から歩いてすぐのバス通り沿い。
地図を見ながら歩いていたら、風格のある店構えが見えたのでですぐに分かった。
ところで私は「きび餅」に弱い。
真っ白いお餅よりも、あの野趣味のある黄色い色合いと、あっさりとした軽い口当たりが好き。

小梅堂にて、個包になった16個いり(680円)を注文したら、
今から包むというのでしばらく店内で待つことになった。
店員の中年の女性が感じ悪いなぁと思って観察していたら、何かトラブルが起きたらしく、慌てていただけらしい。
興味ありげな私に気づいた店員さんが「かるかんはお好きですか?」と、おもむろに声を掛けてきた。
日ごろから「かるかんって美味しくはないよなあ」と思っているくせに、口は「はい」と答えていた・・・
店員さんの話では、かるかんの原料である芋にほんの少し色の悪い部分が混ざってしまったので、
今日作ったかるかんは全て売り物にならなくなってしまった、ということだった。
しかし、見た目が悪いだけで味には変わらないので、ご近所やなじみの方に無料で配ることにしているのだそうだ。
それで私にも「お好きならお分けします」と声をかけてくれた、というわけなのだった。
老舗のかるかんを無料でいただける・・・それは願ってもない話なので「ぜひください」とお返事した。
出てきたかるかんは、ようく見ると黄色い点が2つ3つ見えるだけで、普通のかるかん。
正直、こんなくらいで売り物にならないの?!と思うくらい。これが老舗の仕事なのか、と感心した。
買ったきび餅とタダでもらったかるかん4つを持って、お礼を言いながら小梅堂をあとにした。
きび餅

帰り道

帰りの電車で試食。
気になるかるかんは、しっとりと優しい味だった。
前にお土産でもらったのはまずくて苦手意識があったのだけど、それとは違うものだった。
きなこをまぶしたきび餅は驚くほど柔らかくて美味しい!
わらび餅に似ているけれど、もっと味わいがあって「また食べたいなあ」と思った。
後日、ご近所に配ったら好評だった。

旅行後記

日帰りで近場に行ったにしては、具だくさんな一日で楽しかった。
肝心の梅はゆっくり見るどころではなかったけれど、この春はあちこちに梅を見に行ったので、
私の梅に対する欲望は満たされた。なんといっても梅は匂いが楽しめるのがいい。
種類によって匂いが違うし、色も豊富だし、ちょっと地味なところがまた可愛い。
ゾウの梅子は、後日ウェブで調べたら、55歳という高齢であることが分かった。
小田原城の動物園は、劣悪な環境と老朽化が進んでいるため、
梅子が死んだら解体される予定だという・・・梅子待ちの状態。
なんだかしんみりしちゃう境遇の梅子なのであった。
それにしても、梅子といい湯河原の梅といい、梅についてない一日だった。