男鹿半島 戸賀温泉「海と入り陽の宿 帝水」
JR「ふたりの北東北フリーきっぷ」(2人で4日間フリー区間乗り放題・44000円)のチラシを見て、
12/23(火)
うち〜秋田〜男鹿半島
海と入り陽の宿 帝水
吹き抜けの明るいロビーへ入った途端、スタッフの方々に笑顔で迎えられる。
私たちのお部屋は2階の1番奥。色白で丸顔のカワイイ仲居さんに案内されて、
お部屋は、いつも貧乏旅行している私たちには落ち着かないほど贅沢で、
内湯からの景色も開放感たっぷり。幸せなことに貸切状態だったので、のび〜んと体を伸ばして入浴。
内湯から露天風呂に出ると冷たい潮風。急いでお湯へ入る。お湯が熱いので腰だけ浸かっていても寒くない。
17時からオットはうたた寝・・・幸せそうな寝顔が笑いを誘う。
腹八分目のころ特別注文料理「石焼」登場!!(1人前2000円也。)
部屋に戻ると窓の外は真っ暗、というか真っ黒。見えるのは3秒おきに光る灯台だけ。
12/24(水)
帝水〜秋田
9時半、秋田まで行く送迎バス「サンタクロース号」に乗る。
田沢湖〜乳頭温泉「鶴の湯」
乳頭温泉「鶴の湯」
ところで、鶴の湯に幾つのお風呂があるのか把握しきれていないのだけれど、私が入ったのは全部で4箇所。
お風呂から本陣の部屋に戻ると、ランプが灯り囲炉裏に火が入っていた。妙に嬉しい。
22時。視界の悪いこの時間を狙って混浴露天風呂「鶴の湯」へ行ってみる。
夜は囲炉裏の炭に蓋をしてランプの灯りの中で眠る。綿の重い布団があたたかくてぐっすり眠った。 12/25(木)
乳頭温泉 鶴の湯
10時半の送迎バスまで、またも温泉三昧する。オットはひたすら露天風呂の「鶴の湯」へ。
荷造りをして事務所で精算・・・という時になって雪が降り出した。もっと早く降ってきてくれればいいのにっ!
送迎バスで雪の中を田沢湖駅へ、そこから盛岡まで新幹線こまちに乗り、下車。
帰りの新幹線はうっかり各駅停車を選んでしまい、東京までがやたら長く感じた。
東京駅に着くと「東京ミレナリオ」へ行く人の波。出来心でついて行ってみることにした。
くったくたに疲れて帰宅。あ〜やっぱり家が一番!
旅行後記
&
乳頭温泉「鶴の湯」
2003.12.23〜12.25
憧れの乳頭温泉で雪見露天風呂がしたいという欲望がムクムクと沸いてきた。
一ヶ月前に電話してみたら、予約殺到というウワサの本陣の予約が取れたではないですか。
冬の秋田まで行くなら海の幸も食べたいよね、と探して見つけた宿が男鹿半島にある「海と入り陽の宿 帝水」。
今年は夏休み返上でお仕事だったオットへの「お疲れさま」の気持ちも込めて、本命の贅沢旅行。
うち---------------------------------------戸賀温泉「海と入り陽の宿 帝水」
ほぼ4時間、秋田まで乗りっぱなし。お弁当を食べたり、うたた寝をしたりして盛岡まで過ごす。
そこから先は新幹線と思えないのんびりペースで、途中からスイッチバックして後ろ向きに進む。即酔う。
秋田のホームで動けない私とは正反対の元気いっぱいのオットは、
ホームの立ち食いそばで軽く腹ごしらえをしていた。
秋田からは男鹿線で羽立駅まで行く。約50分。
羽立駅で降りると、帝水の送迎の方が乗用車で待っていてくれた。
畑と山ばかりの「なまはげライン」を通って進むうち、ポンと青い戸賀湾が現れる。
漁港を抜けた高台に戸賀湾を見下ろすように帝水がある。羽立駅からは25分ほど。
帝水は新築されたばかりの宿で、新館と古い本館に分かれている。私たちは安い本館を予約していた。
ところが受付で「よろしければ新館のほうにお泊まりくださいませ」と嬉しい申し出をいただいて、
お値段据え置きという言葉に「はいっ喜んで!」と新館に宿泊させてもらうことにした。
ちなみに本館の宿泊料は13000円、新館は16000円・・・ううう、ありがとうございました。
「どうぞ」と通された部屋から景色に「おぉ!!」と声が出てしまった。
大きなガラス窓の向こうに見えるのは青い日本海ばかり。まるで1枚の絵。
動くものは白い波とトンビだけの静かな海を、独り占めする贅沢を噛み締めた。
飲み物が入ったものと空っぽの2つの冷蔵庫、飲食用の小さな流し、
ウォシュレットトイレとお風呂と流しが二つついた洗面所などが完備されている。
窓辺には景色を楽しめるような掘りごたつと普通の座卓があり、その上には玉手箱(3段のお重)が。
中身は海苔巻とお菓子と果物。これは小腹を空かせた旅人を気遣ってのもの。嬉しい。
それからちりめんで出来た巾着袋のプレゼントが用意されていたり、女将の手紙があったりと、
女性の喜びそうなサービスがいっぱいだ。
なんといっても、ここは「海と入り陽の宿」ですから。
お風呂の浸かりながら、海をぼーっと眺める幸せ。く〜たまらんっ。
お湯は・・・ナトリウム塩化物・炭酸水素塩泉で、切り傷・やけど・慢性皮膚病・婦人病に効くという。
ちょっと肌にチクチクと刺激があるので、舐めてみたけど塩辛くはない。ほぼ無色透明。
惜しむらくは掛け流しの温泉ではないということ。自然に湧き出すパワフルなお湯だったら申し分ないのだけどなぁ。
ところで夕日はどこへいったのか・・・空も海も赤く染まる様子はなく、しみじみと日は暮れて、
海は色を失っていくばかり。それはそれで美しいんだけど、燃えるような入り陽が見たかったぁ〜。
ちなみに、男女それぞれ大浴場(内湯)と露天風呂があり、広さや仕様はほぼ変わらないようだ。
18時から1Fの「和食処おおしま」にて夕食。海に面した10畳ほどの個室。
お料理は一品ずつ作りたてが運ばれる。身に余る幸せとはこのことか、と思いました。
食前酒:プラムワイン
前菜:海老酒盗焼き・菜花辛し和え・ロールキャベツ・柿博多
造里:ヒラメ・海老・帆立
焼物:鰤照焼き・マヨ卸
鍋物:きりたんぽ鍋
お凌ぎ:稲庭うどん
煮物:牛タン・野菜
酢物:北寄貝と蟹の酢の物
揚物:湯葉茶巾揚げ(蟹新丈)
食事:雲丹御飯
止椀:ざっぱ汁
香の物
水菓子
これは男鹿半島名物で、秋田杉桶に魚介と味噌汁を入れ、高温で焼いた石を入れて煮る豪快な料理なのである。
手順は・・・味噌汁の入った桶に魚介投入、石投入、数秒で魚介に火が通って完成。遠赤外線パワーすごい。
岩のりを入れた器に汁ごと盛り付けてもらいいただく。生臭さのないブリブリっとした魚と旨みの出た汁が美味しい。
でもここまで贅沢な食事をした後では勿体無いなぁ。
もう入りませんというほど食べて時計を見ると20時。あらあら、2時間も食べ続ければ苦しいのは当然だ。
持ってきた部屋着に着替えてだらだら過ごすし、寝る前にもう一度お風呂へ。
昼間開放感たっぷりだった海の見える広い窓も、夜はただの黒い壁。ちょっと怖かったのでそそくさと出る。
戸賀温泉 帝水-----------------------------------------乳頭温泉 鶴の湯
朝食前の大浴場で、人の多さに驚いた。いや、昨日は二度入って二度とも貸切状態だったから、
宿泊客はほとんどいないと思っていたもので。
朝食も昨日と同じ「和食処おおしま」。広い座敷を開け放して、他の宿泊客も一緒に食事。
船が出て行く青い海を眺めながら朝食を頂く。海って空の色を映しているから青いんだなぁ。
9時過ぎチェックアウト。宿泊料、別注のお料理、入湯料込みしめて32850円。
値段以上の満足感が得られる宿だった。またいつか来るぞとオットが言った。
11時半すぎ、秋田駅に到着。コインロッカーに荷物を預けて、駅前散策&お土産探し。
秋田名物、燻製たくあん「いぶりがっこ」購入。おやつは甘味噌の焼ききりたんぽ。
12:57新幹線こまちに乗り田沢湖まで1時間の移動。買ってきたサンドイッチや果物でお昼ご飯。
13:56田沢湖駅に到着。駅前・・・なんにもない。ついでに、期待していた雪もない。
14:15駅前から羽越交通バスにて高原温泉めざして出発。一番前の座席足元に雪道用のごついチェーンが置いてあった。
道を進むほどに景色は寂しくなり、懐かしい田沢湖を通り過ぎるころ、道端の雪が増え始めた。
30分ほどで高原温泉バス停到着。そこから送迎バスに乗り換え15分ほどで宿に着く。
15時過ぎ、憧れの鶴の湯に到着。雪はあるけれど、ポスターに写っていたかまくらが作れるほどの雪はない。
あのテレビや雑誌で見る門の前に立つと、思っていたよりずっと小さな建物だったことに驚いた。
今晩私たちが泊まるのは本陣3というお部屋。1泊2食9000円と冬季は暖房費が多少かかる。
部屋に向かう途中「お部屋温めておきましたよ」と宿の方が声を掛けてくれた。
部屋に入るとまず囲炉裏に驚く。次に部屋にカギがなく用心棒がカギ代わりなことに驚く。
(外出中の部屋は出入り自由になってしまうので貴重品は事務所に預かってもらう)
そしてテレビがないことに驚く。最後にトイレがウォシュレットだということに驚く。
そんな中、宿の方が「下駄よりこっちがいいでしょ」と長靴を持ってやって来てくれた。
ちべたい床を爪先立ちで駆け抜け、温かいお湯にゆっくり入る。じゅわわ〜ん。
肌に柔らかい優しい真っ白なお湯は、少し青みがかっているような不思議な色をしている。
湯の底には玉石が敷かれていて足の裏に気持ちいい。首まですっぽり入っていると、
湯気が湯面を滑っていくのが見える。雪化粧をした山が目の前にそそり立っていて、そこから粉雪が舞ってくる。
聞こえるのは誰かの笑い声とお湯が流れる音だけ。う〜極楽極楽。
テレビなどでも有名になった露天風呂「鶴の湯」、女性専用露天風呂「大白の湯」、
それから白湯と黒湯(どちらも内風呂で男女それぞれ1つずつある)。
このほかに「鶴の湯」に通じる女性専用露天風呂(お湯が冷たそうではいれなかった)と、
「中の湯」(内風呂で男女に一つずつ)と「滝の湯」(未確認)、それから湯治部の内湯(未確認)があるらしい。
驚いたことにそれぞれのお風呂ごとに泉質が異なるという。のだれど、入ってみても違いが分からなかった・・・鈍い?
温かい囲炉裏の周りでのんびりしいると、17時過ぎに若い宿の人が岩魚を持ってやってきた。
串刺しの太った岩魚に飾り塩をしながら「左右腹背の順番に10分ずつ焼いてください」と説明をしてくれる。
17:15焼き方スタート。これがなんとも言えず楽しくて自分の焼いている岩魚に愛着が沸いてくる。それにいい匂い。
18:00、岩魚が焼き上がる頃に夕食が運ばれてくる。
きのこや山菜のほっとするお料理と名物「山の芋鍋」。豚汁風の汁に一切つなぎの入らない山の芋団子が入っている。
それと自分で焼いた岩魚。焼きたての岩魚ってこんなに美味しいのかー!!と叫びたくなるほど美味しい。
噛むと初めはシャリシャリしていてそのうちネバネバしてくる不思議な山菜があったので宿の人に尋ねると、
それは「ミズの実」だという。ミズの葉の部分は食べたことがあったけれど、こんな実がなることは知らなかった。
ミズはウワバミソウとういう野草。実を食べるために春に全部取らずに残しておいたものが9月になると実をつけるそうだ。
それを塩漬けにしておいて1年中食べられるように保存しておくのだ。山の暮らしの知恵・・・丁寧な暮らし。いいな。
すべて食べ終わる頃、宿の方が苺のショートケーキを二つもって来てくれた。まさかここでクリスマスができるとは!
何もかも本当に美味しく頂いた。山の恵みをもらったなぁと感謝したくなるような夕食だった。
テレビもラジオもなく灯りも暗いので、何もできない。・・・家にいたら、なんぼでもすることあるのに。
なるほど。忙しくしてるからオットの子供時代の話も聞けないわけかー。
オットは囲炉裏の火を絶やすまいとせっせと炭をくべて、とても楽しそう。(炭が足りなくなり500円で買い足した。)
部屋の換気のために木戸を少し開け放しておくと、誰かが雪を踏むギュギュっという音が聞こえたり、
ひんやりした夜気が入り込んでくる。聞こえるのは隣の部屋の話し声と炭がパチパチいう音ばかり。
昔の人の夜をほんの少し体験できただろうか。こんな風に過ごしていると、時間はのんびり過ぎていく。
みんな同じことを考えるらしく、けっこうな人。カップルも何組かいるので気にせず入ることにする。
男女は脱衣所でわかれ、外に出たところで一緒になる。通路からも丸見えの開放的な露天風呂。
スッポンポンで入ってもいいのにオットが嫌がるので、フェイスタオル2枚を胸と腰に巻いて、
ビキニのように?して入ってみた。(オットは私の貧祖な体を誰にも見られたくないのか・・・?)
ここのお風呂も底に丸石が敷いてある。この上で足を動かすツボが刺激されるのか気持ちいい。
20分ほどして湯あたりしてしまい、私は一人部屋に戻った。
一人で退屈したので、薄暗い部屋で宿泊客が書き残していったノートを見ていたら頭が痛くなった・・・
乳頭温泉 鶴の湯-----------------------------------------うち
部屋に戻る前に事務所に寄って、囲炉裏の種火を頼む。
すると鉄製のお鍋みたいなものに真っ赤な炭を入れて、宿の方が部屋まで持ってきてくれる。
ストーブがあるので寒くはないのだけれど、囲炉裏の目からもらえる温かさは捨てがたい。
私はまだ入っていない白湯と黒湯へ。白湯の窓は「鶴の湯」に面していて、
覗いたら「じゃらん」の撮影でキレイなモデルさんが2人水着で入浴しているのが見えた。
黒湯や中の湯の浴槽は、大人が3人も入ればぎゅうぎゅうなほど狭いけれど、
白湯の浴槽は広くて日も射して明るい。でもお湯が熱くてのぼせる。
やっぱり私は婦人露天風呂の「大白の湯」が1番好き!ということで、ギリギリまでそこで過ごした。
10時を過ぎるころ、湯めぐりのお客さんたちがバスでやってきた。これから午後3時まで騒がしくなるのだろう。
すっかり有名になりすぎてしまった「鶴の湯」は、15時から10時はとても静かな宿だった。
そして古きよき時代(←ありきたりな言い方だけど)を必死で守っているような、けなげで強い温泉宿だ。
いつも忙しそうな宿の人たちは「ここの生活を愛してるの」っていう顔をしていて、なんだか羨ましかった。
もちろんここのパワフルなお湯こそ魅力だけれど、泊まってみて分かる魅力もたくさんある温泉だと思う。
またいつか2人で来て見たいなぁ。
駅ビルでお昼ご飯を食べようと歩いていると、前沢牛のお店を見つけたので、
ハンバーグを注文した。(ステーキは高くて手が出なかった・・・)
お肉っぽくて(パンぽいのじゃなくて)美味しかった。
ここで手荷物だけ残して大きな荷物は送るために、荷物を詰め替えていると、
作業しやすいようにと店員の方がテーブルをどけてくれた。ご親切に感謝!
お店の目の前にヤマト運輸の受付があったので、そこで荷物をお願いして、
すっかり身軽になった私たちはお土産を物色することにした。
まず白龍の「じゃじゃめん」、それから珍しい味の南部せんべいをお土産に購入。
新幹線がいくら快適だとはいっても3時間以上も乗ってると疲れます。二度と乗るまい・・・
車内でオットと2人、思い出せる限りのバンドムーム時代のバンド名を挙げて遊んだら、
懐かしすぎてなんだかイヤな汗をかいてしまい、2人ともますます疲れた。
が、30分以上並んだところで遅々として進まない行列に挫折。
列を抜け出して、イルミネーションの入り口から眺めるだけにした。
あんなの近くで見るより遠くから眺めてるほうがずっとキレイだい!・・・
帝水も鶴の湯も期待していた以上に素敵な宿だった。
今回は美味しいものもたくさん食べたので本当に身も心も満たされた。
それにしても私の乗り物怖い病がネック。なんとか治した〜いっ。