ちょっとしたものの言い方・所作ふるまい

洗練された大人とは?



 私たちは通常、主に2種類のコミュニケーション方法で互いの意思疎通を図っています。

 
  言語コミュニケーション   → 言葉(会話、文章)
  非言語コミュニケーション → 態度(眼差し、しぐさ)


 言葉を尽くすのも大切ですが、「目は口ほどにものを言う」ということわざもあります。その場
の雰囲気、つまりTPO(時・場所・場合)にあわせて2種類のコミュニケーションを組み合わせ、
自分の思いを確実に相手に伝えることが最も重要であると考えられます。
 そのためには、相手を観察する必要があります。観察するには想像力が必要です。
 観察のポイントをいくつか下記に挙げてみます。


  相手との距離感を知る → 接点、親密さのレベルをはかる
  相手の立場にたつ    → 相手の価値観・事情に理解を示す



  「相手との距離感」とは、どの程度の接点をもてばよいのかという観点です。
 どうにも相性の悪い人はいるものです。そういう人と無理に仲良くする必要はありません。
 しかし、全く無視して挨拶もしないというのは大人気ない振る舞いです。また、挨拶だけでは
済まない間柄という場合もあるでしょう。
 例えば……

 「感じよく挨拶程度を交わす仲でよい」
 「一般的な会話をおりまぜ、表面的なお付き合いで十分」
 「自分から働きかけてでも可能な限り円滑に交流していかなければならない」
 
 といった様々なケースがあります。
 自分と相手がどのケースに当てはまるのかを先ずは冷静に判断します。
 次に、「相手の立場にたつ」とは、巷でよく耳にする「自分がされて嫌なことはしない」をもう一
歩発展させた考え方です。
 自分は気にならないことでも、相手にとっては触れてほしくない話題もあるはずです。円滑に
コミュニケーションをとりたいのなら、自分中心に考えるのではなく、相手がされて嫌なことを考
える必要があります。
 例えば、学歴、社歴、家族構成、等々。
 これらの話題は初対面の相手とでも取り上げられる可能性の高いものといえますが、一方で
非常に繊細な問題を含んでいます。話題への相手の関心の示し方、話の弾み方などを注意深
く観察しましょう。


     よくしゃべっているか、口ごもっているのかどうか
     話が展開していくか、途切れるか
     笑顔か、無関心・無愛想な表情かどうか

 
 相手も2種類のコミュニケーション手段で、あなたに自分の心情を訴えていることを理解すべ
きです。言葉や態度から相手の心理を類推し、さり気なく会話を進めることができれば良好な
人間関係を築く第一歩となります。
 くだけた調子でフレンドリーに話すのが好きな人もいれば、親しくなるまでは一定のスタイル
を崩さない人もいます。先ずは、安全に、誰に対しても丁寧な言葉・態度を用いてコミュニケー
ションをはかりましょう。
 会話の進め方のポイントは、いくつかあります。


 
   @年齢に関係なく丁寧語で話す
   Aクッション言葉を織り込む  
    B相手の話題中心に自分の情報開示も加える
   C話題にのってこない場合は機転を利かせて話を変える



@相手をよく知らないうちからタメ口をきいていると、不快に思われることがあります。明らかに
 自分が年長でも挨拶などは「おはよう」ではなく「おはようございます」から始めるのが無難。 

A「あいにく私も持っていません」「お役に立てなくて申し訳ないのですが」「今、お電話して 
 も大丈夫ですか。実は…」「もし、よろしければ、○○しましょうか」の太字部分のようなちょ
 っとした一言を緩衝材(クッション)として加えると柔らかい話し方になります。
 
B「話し上手は聞き上手」というように、慣れるまではこちらから話すよりも相手に話させ、情報
 収集することが大事。話題の自然な流れの中で自分のプロフィール等も伝えていきましょう。

Cコミュニケーション初期段階はひとつの話題に終始するより、様々の話題を振ってみる工夫
 も必要です。話題が弾むきっかけを発見できれば、しめたもの。


 漫然と話をして、うっかり相手を怒らせる、どうも人とうまくやっていけないというのは必ずどこ
かに原因があります。それを相手のせいにしても問題は解決できません。
 いつまでも人付き合いが苦手なままでいいのですか?
 
 気配りの積み重ねが「洗練された真の大人」への近道です。
 周囲にお手本となるような人物はいませんか?
  「感じのよい人」は、なぜ、そう評価されるのでしょうか。
 日常生活の中での心に残る嬉しい一言、爽やかな印象、ハッと目を奪われた美しい所作ふ
るまいなど、どんどん真似て学んでいってはいかがしょう。