∽ ∽ 日本のことわざ ∽ ∽
参考資料「岩波国語辞典」「広辞苑」「日本国語大辞典」「成語大辞苑」 |
ことわざ | もともとの意味 | つかわれている意味 | つかわれている例 |
---|---|---|---|
馬に念仏を聞かせても、その有難みがわからない | いくら立派なことを説き聞かせても、何の効果もないたとえ。犬に論語。兎に祭文。牛に経文。 | ||
馬の耳に心地よい風が吹いても気にもせず草をはんでいる様子か?「馬耳東風」と「馬の耳に 念仏」が一緒になって出来た言い方だと思われる。 | 人の意見をなんとも感じず、聞き流すことのたとえ。馬の耳に念仏。 | 「貴様たちに言って聞かせたとって、馬の耳に風だろふが」(「膝栗毛」) | |
馬は馬どうしで集まっていると安心して落ち着く | 同類のものが集まりやすいこと。また、似たもの同士が集まるとうまくい くこと。牛は牛づれ。この言葉の背後には封建社会の、それぞれの身分に安住させる意図が見える。 | 「牛は牛づれ、馬は馬づれと言ふが、こなたも百姓、身共も百姓、此のような似合うたよい連れはあるまい」(狂言・餅酒) | |
速い馬をおそい牛に乗り換える | よいものを捨てて悪いものにかえるのにいう。 | ||
目的地に早く着くためには、足の遅い牛から足の早い馬に乗り換える方が有利である。 | 劣っているものを捨てて、すぐれているものに変えること。今までの関わりを捨てて、自分に都合のいい方に変えるという、功利的な意味合いの強い言葉。 | 武家にて知行給はるお百姓牛を馬にぞ乗りかへにける『鷹筑波集』 | |
馬を買おうとおもうなら、適正な値段を知るために、まず牛の値段をたずねよ。 | 値段のはっきりしない物を買う場合は、別の物の値段を聞くことによって、掛け値のない、本当の値段を知ることが出来るという教え。 | ||
良い馬かどうかの判断は乗ってみなければつかないし、人の性質のよしあしも結婚して一緒に暮らしてみなければ分からない。 | 馬でも人でも、その性質は外見だけではわからない。物事の真偽も、じかに確かめないと当てにはならない。 | ||
ばか者。 | 「わいらも、きつい馬太郎ぢゃな。(歌舞伎・五大力) | ||
馬が乗り手と一体になって動くことからか | 気が合う。 | ||
遊女屋・料理屋などで、勘定の不払いを取り立てるために客の家まで付いていく者。 | |||
素性の知れない、つまらない人間。 | 「どこの馬の骨だかわからない」 | ||
芝居の馬の脚が見えてしまう。 | 偽り隠していたものが表れる。ぼろが出る。化けの皮がはがれる。 | ||
天を駆ける名馬が地上で躓く。 | どんな名人でも失敗することがある。同義・猿も木から落ちる。 | ||
自分の年齢をへりくだって言う。 | 大したこともせず、むだに年を取る。 | ||
旅立つ人の乗った馬の鼻を行くべき方へ向けて見送る中国の習慣による | 旅立ちや門出に贈る品物・金銭または詩歌など。せんべつ。餞。 | 「藤原のときざね、船路なれど、うまのはなむけす。(「土佐日記」) |
∽ ∽ 中国のことわざ ∽ ∽ 参考資料「広辞苑」「新選漢和辞典」「漢文体系」 |
ことわざ | もともとの意味 | つかわれている意味 | 出典・用例 |
---|---|---|---|
馬の耳に東風が吹く意。春風が吹くと人は喜ぶが馬は何の感動も示さない | 人の意見や批評などを、心に留めずに聞き流すこと。 | [李白、答王十二寒夜独酌有懐詩] [蘇軾・和何長官] |
|
桓温が不仲の殷浩と並び称されることを不満に思い、幼時 には殷浩は自分の捨てた竹馬で遊んでいたと、自分の優位を吹聴した故事 | ともに竹馬に乗って遊んだ幼い時の友。おさなともだち。 | [晋書殷浩伝] | |
旅立つ人の馬の鼻を行くべき方へ向けて見送った習慣による | 旅立ちや門出に贈る品物・金銭または詩歌など。せんべつ。 | ||
中国の南方は船で、北方は馬で旅行するのが常である意。 | 絶えず方々を忙しくかけまわること。東奔西走。 | ||
騏りん(千里の馬)も老衰すると、のろまの馬に負ける。 | 英雄も老衰しては、役に立たなくなる。 | ||
千里を走る名馬が、塩を運ぶ車を引く。 | すぐれた人物が、低い地位にあって、働いているたとえ。 | 戦国策・楚 | |
昔、中国の北境の塞の付近に住んでいた老翁が飼い馬に逃げられ、それによって禍福がさまざまに転じて起こった故事。 | 人生の幸不幸は予測できないものだというたとえ。 | 淮南子 | |
|
∽ ∽ 英語圏のいいまわし・ことわざ ∽ ∽
参考資料「英和辞典」「英語名句事典」 |
いいまわし・ことわざ | 意味 | |
---|---|---|
【名】(通例aをつけて)高笑い. | ||
【名】(特に若者の)ばか騒ぎ,悪ふざけ. | ||
【名】〈口語〉一般常識,知恵 | ||
馬は馬具によって判ぜられず。 |
人も馬も外観だけで本当の評価は出来ない。 | |
馬の前に荷車をつなぐな。 |
物事を成す場合には手順を取り違えてはならない。位置の前後関係を物事の手順、時間の前後関係の意に置き直している。 | |
馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない。 |
よかれと思って人がチャンスを与えることはできても、本人にその気がなければ無理強いすることはできない。本人にやる気がなければいたしかたない。 | |
もらいものの馬の口をのぞくな。 |
馬はその歯を見れば年齢がわかるところから、「馬の口をのぞく」は贈り物にけちを付ける意味になる。 | |
イギリスは女性の天国、男性の煉獄、馬の地獄である。 |
モンテーニュの『随想録』の英訳(1603)で知られるJohn Florioの言葉。彼は当時のイギリス社会の鋭い観察者でもあったというが、17世紀初頭のイギリスで、女性の社会的権利が拡充していたとは思えない。 むしろ、社会的にはまだ権利が無いからこそ、家の中だけで発言する女性をとらえて男には耳の痛い存在としたのか。馬は文字通り「馬車馬のごとく」働かされていたであろう。 | |